同居ノススメ


慎太郎は終始黙って
話を聞いていたが、
他にも思うところもあり、

なにも言い出せずにいた。

すると亜紀が

「何か他に聞きたいこと、
ありますか?」

と言うと

「あっ、教えてくれて、
ありがとうございます。

それで・・
いま桃は、どうしてますか?」

ときくと、

「もしかしたら、
まだ眠ってるかもしれませんね。

命に別状はないって聞いたので
心配ないかと思います。

朝一でお医者様から
説明をされた時には、

もうすぐ目覚めるだろう、
とも言わましたよ」

と亜紀は答え
サイドブレーキをかけ

「病院に着きました。
こちらです」

と亜紀は慎太郎を
桃の病室の前まで案内をした。

亜紀は、

「桃が目覚めたら、
教えてください。

わたし、
外で園長や保護者の方々に
連絡を入れてくるので」

と病室から離れていく。

慎太郎は、
亜紀の遠ざかっていく
足音を聞きながら、

「亜紀さん、お世話になりました。
どうもありがとうございました」

と深々と頭を下げた。

亜紀は軽く会釈をし
ニコッと笑ってみせ、

「早く桃に逢ってあげてください」と
言った。



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