君を選んだから

わかるような、わかんないような？

ただ、スペックやら、恋愛テクやらより、中身がとにかく優しい人がいいっていうのが、すごく彼女らしい気がする。


「なるほど。すごく優しい人なんだ。」

「うん。だからね........。」

「だから？」

「この前、告白しちゃった。」

「へっ！？マジすか！？」

「うん。だけど、みんなにはまだ内緒だよ。郁海くんだから言うんだからね。」

「そ、そうなんですか。へぇ..........。上手く行くといいですね。」

「うん。ありがとう。」


もちろん、そんなこと、これっぽっちも思ってないけど、そんなに嬉しそうに笑顔で言われたら、そう言うしかない。


好きな人がいるっていうところまでは我慢できたけど、彼女から告白させるなんて、一体どんな奴なんだ？

それに、こんな場面でいかにも可愛がってる風に、「郁海くんだから言う」って言われても嬉しくないから。

聞いてて腹が立つし、悔しいし、切ないし、悲しいし..........

大丈夫か？ 俺って、今、上手く笑えてるのかな？


「と、ところで、何やってる人なんですか？」

「今はね、大学院に行ってる。」

「ふ〜ん、何かすごいですね。」

「でしょ？ なのに、話してて、そういうの、全然感じさせないの。細身で、一見、神経質そうにも見えるんだけど、話すとちょっと舌っ足らずだし、笑うとカワイイし。」

「何か、すごく幸せそうですね。」

「ふふふ..........。まだ返事も聞いてないのにね。」