君を選んだから
そこまで言われたら、それ以上、何も言えなかった。

まだそいつがどういう返事をするかわからないのに、既に敗北感しか感じない。


って言うか、彼女に告白されて、断るバカ男がいるのか?

いないだろう、絶対。

そいつがその場でOKって即答しなかったことが信じられないくらいだ。


それに、何より彼女の方があれだけ惚れてるんだから、勝負のしようもない。

彼女の幸せを願えば上手く行くことを願うべきなんだろうけど、受けたダメージがデカ過ぎて、こっちはマジでそれどころじゃねーよ。


まだ告ってもいないのに、この有様か。

結構仲良くしてくれてたから、確率ゼロではないと思ってたのに。

彼女からしたら、俺なんて可愛い弟くらいの感覚だったんだろうな。

本気で好きだったから、マジでかなりのショックだ..........


その日から俺は見えない相手に嫉妬を抱きつつ、やり切れないない気持ちを押し殺してバイトに励んだ。

彼女にはまだ人に言うなと言われていたし、騒ぎ立てることでますます負けを認めるような気がしたから、誰にも言えず、一人でどうしようもない惨めな感情と戦い続けた。


辛かった。本当に本当に辛かった。

逃げてしまいたかったけど、そんな子供っぽいことをして、彼女に嫌われたくなかった。


それにまだ、1パーセントでも振り向いてもらえる確率があるなら諦めたくはなかった。

それくらい真剣に、彼女のことが好きだった。

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