君を選んだから
だけど、そんな儚い希望も、残酷過ぎる信じ難い事実に打ち砕かれた。


バイト終わりに珍しく彼女にサシ飲みに誘われ、ウキウキしながら付いて行ったら、彼女の口から出て来たのは、耳を塞ぎたくなるような言葉。

それは、これからの人生において、これより大きなダメージを受けることは有り得ないだろうと思うほどの衝撃だった。

今でも鮮明に思い出せるくらいに。


「あのね、実は、この前言ってた人と正式にお付き合いすることになったの。」

「.......そ、そうなんですか。良かったじゃないですか。」

「でね..........。その人の名前、スガダイチさんていうの。」

「へ?」

「知ってる名前でしょ。須賀大地さん。郁海くんのお兄さんだよね?」

「..........。」


一瞬、何も聞こえなくなった。

息をするのを忘れた。

衝撃過ぎて、今、聞いたことは、全部夢なのかと思った。


「同じ苗字だなとは思ってたけど、郁海くんとあんまり似てないし、雰囲気も全然違うから、まさか兄弟だとは思ってなかったの。」

「..........。」

「だけど、昨日、彼と話してたら、余りにも郁海くんと共通点が多くて、もしかしたらと思って名前を聞いたら、本当にそうだったの。すっごく驚いたけど、嬉しくて。」

「......そう、なんだ。」

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