君を選んだから
正式な新チーム発足は、4月からになるようだ。

その代わり、3月からはちょくちょく本社に出向いて、会議やら研修やらに参加することになるらしい。


となると、取り引き先への挨拶は早めに終わらせといた方がいいだろう。

だったら、最初に匡史のところに行っちゃおうかな。

自分の気持ちのモヤモヤとサヨナラするためにも。

立つ鳥、跡を濁さず、だよね。


担当から外れることは、匡史にもう電話で伝えてある。

店で会えなくなるのは寂しいけど、アパートになら来れるだろうって笑ってた。

自分の店での功績が私の評価に繋がったことも、とても喜んでいた。


七星水色ジャンパーで訪ねて行くと、匡史はいつものように嬉しそうに迎えてくれた。

だけど、少し寂しげな様子が、これから私が言おうとしてることを、察しているかのようにも見えた。


思えば、匡史は最初から気付いてたもんね。

私が見ているのは須賀くん一人だけだって。

それをわかった上で、あんなに真剣に思いを伝えてくれたんだもんね。


あの告白には感動した。

匡史にずっと愛されてたのがわかって嬉しかった。

この年になって、「初めて愛した人」に会えて、本当に良かった。


高校の頃のたくさんの思い出も、今の匡史に会えたおかげで、より素敵なものになった気がする。

匡史にはいっぱい「ありがとう」を言いたい。

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