君を選んだから
「陽奈ちゃんはお花を扱うお仕事していて、花嫁さんのブーケ作ったりしてるの。だから、うちに来る時、いつもお花持って来てくれるのよ。」

「そうなんですか。素敵ですね。」

「でしょ? 自分で買って来て飾っても、なかなかこうはできないものね。」

「お家が素敵だからお花も映えるし、ついつい飾りたくなっちゃうんですよ。」

「あら、そう?」

「いろいろイメージ湧くし、飾るの楽しいんです。」


それはわかる気がする。

暮らしてる本人たちにはわかりにくいかもしれないけど、どことなくセレブ感の漂う品の良い大きなお家だから、そういう職業に就いているなら、血が騒ぐのも無理はない。


それにしても、この人、すごく魅力的。

美人なのに、気さくで明るくて自然体。

話しやすいし、何となく目が行っちゃう。


良さそうな人でホっとした。

だけど、その一方、我に返り、ふと焦る。


ねぇ、私じゃ、役不足じゃない?

大丈夫? 本当に私で良かった?

気になって、須賀くんの顔色を伺おうとしたら.........


あれ? いない!?

ちょっと、どこ行ったのよ。

急に一人にされたらドキドキしちゃうじゃん。

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