エリートな彼と極上オフィス
「女心もわからず、粗忽者で優しくもないのに、同期の女の中で抱かれたい男1位になるお前みたいのを、ずるいと言うんだ」
「聞いたことねえし、そんなランキング」
「ちなみに抱かれたくないほうでも1位だって」
「うるせー、頼まれたって抱かねえよ」
「お前、過去の所業をよくそこまで棚上げできるな」
私もそう思っていた。
白い目を向けられて、先輩は不本意そうに黙る。
打ち合わせスペースとしても使われる午後の食堂は人もまばらで、私たち以外には数組だけだ。
資料を借りようとしたら、とりまとめるところまで手伝ってくれると千明さんが申し出てくれたところまではよかったものの。
たまたま居合わせた先輩に声をかけたのがいけなかったのか、作業がさっぱりはかどらない。
「俺はそういうの、もうやめたの」
「湯田ちゃんのものになったんだもんな」
「何度も言わなくていいんだよ!」
真っ赤になった先輩が、私のペンケースを投げつけた。
こぼれたペンたちがテーブルの上の紙カップを直撃し、コーヒーが飛び散る。
「もー、先輩、乱暴ですよ」
「うるせえ、元はと言えばお前が」
「お前だろ、書いたんだから」
「書いたとか言うな! 言っとくが先に湯田が」
「はいはい、潔くしろよ、男らしくねえなー」
「お前がネチこいんだよ」
「ふたりとも、周りに迷惑ですって」
真昼間の業務時間中にバカみたいな言い争いを始めるふたりに、資料をコーヒーから救出しつつ、一応声をかけてみたけど。
入社当時のことまでさかのぼって相手をこきおろし合う姿を見て、あきらめた。
「お前、何、休日に千明と電話とかしてんの」
仕事の連絡を終えると瞬時に非難されて、唖然とした。
いやいや、自分だって散々、土日に連絡してきてたでしょ!
「それは俺だからだし」
「意味がわかりません」
「あいつに隙見せんなよ」
「またそれ!」