エリートな彼と極上オフィス
私の頭に手を置いて、にっこり笑う。



「感謝してんの」



先輩も、けっこういろいろ考えてるんですね。

そういえば、言ってましたっけね、私と同じように、ぐるぐるしてるって。


先輩の首に腕を回すと、抱き寄せて応じてくれた。

甘えたいのですと全身で伝えたら、伝わった。


頭をなでながら、ゆっくり降らせてくれるキス。

このまま溶けてしまいたい。


と浸った矢先。



「お前、そろそろ終電じゃねえ?」



来た。

妙な節制と良識を顔に張りつけている先輩を、冷ややかな気分で見返す。



「なんなんですか、それ、この間から」

「なんなんですかって、なんだ」

「とぼけないでくださいよ、うちに来ても私がここに来ても、きっちり夜にさよならする、なんですか、実家暮らしじゃあるまいし」



同じ流れになったら、今日こそ言ってやろうと思っていたら、案の定、なった。

私の剣幕に驚いたのか、先輩は若干たじたじとなりながらも、きっぱりと言う。



「だって俺は、お前を大事にするって決めたんだ」



…えーと。



「すみません、ちょっとよく、意味が」

「もうノリとか流れでやってた俺とは違うってことだよ」

「別に今の私たちがするのは、ノリでも流れでもなくないですか」

「いや、まだダメだ」



大真面目に首を振る。

うわあこれ、まずいやつだ。

いかんパターンだ。

< 168 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop