エリートな彼と極上オフィス
「俺は具体的に、どうすればいいんだ」
困ってるなあ、という感じの声だった。
似たようなことを、前にも言われたなと思い出す。
顔を上げると、思ったとおり、困ってるなあ、という表情が見返してきた。
すみません、ノープランです。
正直に言うと、その顔がますます困ったような、若干げんなりしたふうに曇る。
「お前な」
「取り急ぎ、現状に不満があると伝えたかっただけで」
「かいつまむと、近寄るな、ってことに聞こえたけど」
「そんな、まさか」
「そう言ってた」
憮然と首を振る。
いやいや、そんな。
距離を置かれたりしたら嫌ですよ、不用意に近づかれすぎると参っちゃうってだけで。
あれ?
自分の要望を整理するのに手間取っていると、お前さあ、と先輩が息をついた。
「ものすごい贅沢言ってんじゃねえの、それ」
「あなたが言いますか」
「だって俺は、湯田のこと気に入ってるもん、可愛い後輩だよ、他にそんな奴いねえし」
そういう発言を“近すぎる”と言うのだ。
そう突っ込みたかったけど、先輩の文句は続く。
「だからなんでもしてやりたいし、喜ぶかなと思ったら、そりゃ土産も買うよ、それをお前の都合でやめろって、勝手じゃねえ?」
「あー…」
そう来る。
「俺、間違ってるか?」
「そもそもこういう問題に、正解も間違いもないのかなと、痛い!」
鞄の角で脚を殴られた。
私のまぜっ返し癖を、こうも的確にカットできるのは、先輩しかいない。
「茶化すな」
「はい」
「どうなんだよ、俺にしてほしいことがあるなら、ちゃんと考えて言えよ、聞いてやるから」