エリートな彼と極上オフィス

「俺は具体的に、どうすればいいんだ」



困ってるなあ、という感じの声だった。

似たようなことを、前にも言われたなと思い出す。


顔を上げると、思ったとおり、困ってるなあ、という表情が見返してきた。

すみません、ノープランです。

正直に言うと、その顔がますます困ったような、若干げんなりしたふうに曇る。



「お前な」

「取り急ぎ、現状に不満があると伝えたかっただけで」

「かいつまむと、近寄るな、ってことに聞こえたけど」

「そんな、まさか」

「そう言ってた」



憮然と首を振る。

いやいや、そんな。

距離を置かれたりしたら嫌ですよ、不用意に近づかれすぎると参っちゃうってだけで。

あれ?

自分の要望を整理するのに手間取っていると、お前さあ、と先輩が息をついた。



「ものすごい贅沢言ってんじゃねえの、それ」

「あなたが言いますか」

「だって俺は、湯田のこと気に入ってるもん、可愛い後輩だよ、他にそんな奴いねえし」



そういう発言を“近すぎる”と言うのだ。

そう突っ込みたかったけど、先輩の文句は続く。



「だからなんでもしてやりたいし、喜ぶかなと思ったら、そりゃ土産も買うよ、それをお前の都合でやめろって、勝手じゃねえ?」

「あー…」



そう来る。



「俺、間違ってるか?」

「そもそもこういう問題に、正解も間違いもないのかなと、痛い!」



鞄の角で脚を殴られた。

私のまぜっ返し癖を、こうも的確にカットできるのは、先輩しかいない。



「茶化すな」

「はい」

「どうなんだよ、俺にしてほしいことがあるなら、ちゃんと考えて言えよ、聞いてやるから」


< 79 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop