甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「焼酎にあたりめ」

3人無言になる。視線だけで親父だと思っていますと伝わってくる。ごほんと咳払いをし、気を取り直した。

「あのね、世間が勝手にそういうものを好む女を親父女子とかいうけど、どんな好みを持とうが、私は女なんだから。親父じゃないの。それと、とりあえず課長は何も思っていない、以上」と手元にあったビールを飲みほした。

「あ、わかるっす。私もちょっと乙女ゲームとかBL漫画とか読むくらいなのに、加賀っちに腐女子とか言われますからね。そんなの普通ですよ」

「だってスマホに話しかけてる姿見たら誰だって思うだろ?」
「加賀っちなんかナースと合コンばっかりしてる変態のくせに」

「合コンがなんで変態なんだよ」と言い合ってる2人を無視し、「すみません。焼酎、梅割り」と店員さんに声をかけると、加賀くんは「ほらやっぱり」と得意げに言う。

「あっ、すみません。私も同じものを」と若槻が言えば、
「いや……若槻さんはなに飲んでも可愛いですからね」と、前から若槻ファンを公言している加賀くんは若槻が何を頼もうが可愛いになるらしい。

「可愛いって得っすよね、本当」と、中村は溜め息を吐いた。
そういうところで悩めるだけ、やっぱり中村も若くて女の子で可愛いなって思う。
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