甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「………」
「それだけか？」

あまりにさっぱり答えられたので、尋ねたことが小さいことのように感じて
「すみません。そんなこと、どうでも良かったですね。あの……真唯子さんから、少し話を聞きました。その……もし真唯子さんがこっちにいたいって言ったら、お二人は別れちゃうんですか？」
「なんだよ。気持ち悪い。お前と恋バナなんかしたくねーよ」
「大事な話です。もしそうなら、僕だって、頑張れますから。矢嶋さんの口から聞いておきたいんです」

顕は、ふっと笑うと、何も月に帰るってわけじゃねーしなと呟いて
「別れるなんて考えてねーよ」
「なら……」
なんであんな言い方をしたのか聞こうとしたのだけど
「別に、離れてたって変わらないだろ。
勇気を感じさせてくれる存在だってことには変わらない。
それに、必要があれば、俺だって手を差し伸べたいと思ってる。
ただ、無理に形にはめないで自然に一緒にいられたらいいと思ってるだけだよ。
どこに住もうが何をしようが、俺はあいつを尊重するし、真唯子が笑ってれば、それでいいんだよ」
「………」
「これで満足か？」と尋ねた。