夢恋・second~その瞳に囚われて~
困り笑いで誤魔化す俺を、芹香はクスクス笑いながら見つめる。
「いえ。褒めていただけると嬉しいです。明日からも頑張れそうです。私は普段から、ミスも多くて迷惑ばかりかけているから」
「そんなことない。迷惑だなんて。新しい業務に慣れないのは、君だけじゃないよ」
大げさに言い返した俺を見て、彼女は驚いた顔になる。
「君はよくしてくれてる。向上心が強いから、もうじき戦力としてなくてはならない存在になるよ」
嘘でおだてているわけではない。
カフェでのバイトも、ここでの業務も。いつも精一杯に努力していることを、俺は誰よりも知っているから。
「ありがとう……ございます」
はにかむようににっこりと笑う君を見ながら、なんとも言い難い気持ちが襲ってくる。
君のすべてが好きだ。
どうしても溢れてくる。
「あのさ。今日はもう、上がりたいんだ。急用でね。君も、定時には帰るといいよ」
彼女から目を逸らす。
見つめることすら辛い。