夢恋・second~その瞳に囚われて~
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「ねえねえ、芹香!ちょっと、知ってる!?赴任してきた主任!ヤバいの!めっちゃイケてる!うちの課に来るらしいのよ」
翌日。
廊下で話す、同期の女性社員三人に取り囲まれて私は歩を止めた。
「主任が赴任?今は人事異動の時期じゃないのに」
興奮気味に話す、同じ課で仲良しの萌に返事をする。
「訳アリかもよ。確かにこの時期にはおかしいわよね」
もう一人の言葉に萌がかぶせるように答えた。
「そんなの関係ないわよ。格好よければ理由なんてなんでもいいわー!ホントにいい男なの!さっき支社長室で話してるのを見たのよ。ドアが開いていたの」
「いいなー、萌。私も早く見たーい」
萌の隣で黙って話を聞いていたもう一人の子が口を尖らせた。
「今日すぐに会えるわよ」
萌が得意気に言う。
「だって企画課配属なんでしょ。会えないわ。くやしー」
皆はキャーキャー言いながら盛り上がっている。
私は軽くため息を吐きながらそんな彼女らを見つめて黙った。
正直、どうでもよかった。
「なに?芹香ったら、全く反応なし?こんなにおいしい話を教えてあげたのに」
「芹香は佐伯課長しか興味ないのよねー」
「そうそう。いいなー、ラブラブで。昨日もデートだったんでしょ?大人の上司とオフィスラブだなんて、ドラマみたいだよね。私も誰かに誘われないかなー」
「佐伯課長は素敵だもんねー」