クールな同期が私だけに見せる顔
「へえ、晴夏って、省吾と本当に付き合うことになってたんだ」
私を見て横山君がしみじみ言う。
「横山君、このこと、咲良にしか言ってないから周りには黙っててね」
「わかってるって。もちろん、言わないよ。
まさか、こんな面白いことになってるなんてな。
みんなが知ったら、省吾、いろいろ言われるだろうな」
横山君は、明るくていつも前向きだ。
彼といると、余計なことを考えなくて済む。
咲良は彼のこと、能天気すぎるって怒ってるけど。
横山君は、細かいことにはこだわらない、とってもいい人だ。
「それでさあ、あの時だろう?省吾が、酔っぱらった晴夏を連れて帰った時」
横山君が私と省吾の話を聞きたくて、浮き浮きしている。
「うん。まあ、そんなとこかな」
「晴夏、かなり酔ってたから、覚えてないだろう?
俺と咲良が、晴夏を連れて帰るって言ってんのになあ。
省吾のやつ、俺が連れて帰るの一点張りで、頑として晴夏のこと離さないって言い張るし」
「省吾が、そんなこと言ってたの?」私は、顔を上げた。
「そうだよ。信じられないだろう?
咲良に省吾は、彼のこと信用してないからダメだって、突っぱねられたっていうのにのに」
「本当に?」
「ああ、そうだよ。
咲良は、晴夏ちゃんにちょっかい出すなって、省吾に食ってかかったんだぞ。
結局あいつ、無理やり晴夏のこと誰にも触れさせないって、えらい剣幕で連れて帰ったんだぜ」
「そうだったんだ」
「あいつにしては、ここまでムキになるなんて、珍しいかったぞ」
横山君が、そう言って私の思いつめた頭をほぐしてくれたので、少しだけ笑うことが出来た。