クールな同期が私だけに見せる顔
省吾の文字が見える。
私は、通話ボタンを押す。
彼からの電話を、何度も無視したから、きっと心配する。
連絡が取れないと、彼はここにやってくるかもしれない。
だから、出た方がいいと思った。
耳元に受話器を当てると
――やっとつながった。どこにいたの?
いつもの彼の声がする。
――家だよ。大丈夫だから。うん、ちょっとね出かけてただけ。
私は、電話を耳に押し当てる。
――そっか、じゃあ、用事は片付いた?よかったら、今からでも。
――ごめん。もう寝るとこなんだ。
――そうだよな。もう電車ないし。
――うん。
そっか、という声と同時に、ため息が聞こえてくる。落胆した彼の声を聞くと、自分がすごく悪いことをしている気がする。
――なあ、晴夏。ずっと部屋にいるのか?だったらタクシーでそっちに行ってもいい?
――本当にごめん、省吾。もう、寝るところだから。
――そっか。俺はそれでもいいんだけど。明日も休みだし。
熱くなったりしないで冷静にならなきゃ。
彼は、もっと話したそうだったけど、
私は彼の話を遮った。
――ごめん。もう、切るね。眠いの。
――わかった。また後で連絡するよ。
省吾は、そう言って電話を切った。
省吾、美登里さんと付き合ってるのかな。
すぐにでも確かめたかった。
「そうだよ」って言われたらどうしよう。