クールな同期が私だけに見せる顔


――今日、7時に会社のロビーで

省吾からは、一応連絡が来た。
恐ろしく短い文面。こんなふうに素っ気ないほど機嫌が悪い。

案の定、連絡が届いた後は、なんの音沙汰もなかった。

ああ。

もう、行きたくないうえに機嫌悪いなら、「行くのやめた」とか、言って断ってくれればいいのに。


そういえば、夏休みだって二人で取る予定だった。

休みの日程を合わせて、どこかに行こうなんて考えてた。

省吾は、二人でどこかに行こうと言っても、積極的ではなかったけど。


『どこか行きたいところある?省吾』

『行きたいところ?別に、何も考えてないけど』

『そっか、省吾は、休みなんかに、どこかに出かけたりししない人?』

『夏休みか、晴夏どこかに行きたいのか?』

『そりゃ、行きたいよ。近くでもいいから』

『近くでもいいねえ。お前、いつ休み取るの?』

『わかんない。美登里さんが予定を決めてくれないと、私の予定決まんないもん』

『じゃあ、無理じゃないか。そろそろ予定立てないと』

『わかった。それなら、8月の最初にする』

『ん、いいよ。一日ぐらい、どこかに出かけてもいいな』

『ん?』

『俺は、どこに行かなくてもいいけどな。晴夏と一緒にいたいから。
どこ行っても、どうせ景色なんて見てないし』


結局、休みは完全に一緒にはならなくて、前後の3日間が重なっただけだった。

『省吾って、旅行好きじゃなかったの?』

『好きだよ。でも、今は、晴夏のことばっかり見てて、ろくに景色なんか見ないから。出かけて行ってももったいないかな。移動の時間ももったいないし』

『なに、それ』

『何にもいらないってことだよ。晴夏の他には』

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