クールな同期が私だけに見せる顔
「そこで止めて」彼が静かに言う。
いくら何でも、こんなの横暴だし、やりすぎだ。
「一緒に来い」
「嫌だって言ったら?」
無理やり連れだした上に、全部思い通りにしようなんて。
「ダメだ。今日は、これ以上勝手な真似は許さない。晴夏一人にはさせない」
「放っておいてよ。怒ってるなら、私に構わなければいいでしょう?」
「それはできない」
「どうして?私に怒ってるんでしょう?だったら……」
「言ったはずだ。一人にはさせられないよ。絶対に」
タクシーが彼の家の前で止まってドアを開けた。
お金を払う時も、私を離そうとしない。
タクシーを見送ってから、ぼそっと尋ねる。
「どうしてこんなことするのよ?」
「中谷さんに会ってほしくないから」
「会ってほしくないって」
彼の温かい手が伸びて来て、優しく包んだ。
彼は、私の手を握ったままマンションの入り口まで連れて来て、エレベーターに乗る。
「入って」
彼は部屋の前で、立ち止まって乱暴に鍵を開けた。