クールな同期が私だけに見せる顔




一向に働かない頭と、重い体を引きずって、私たちは一時間後に近くのファミレスに向かい合って座っていた。

部屋の中いると、彼は、私を捕まえてキスしてくる。

隙があれば、あいさつがわりだと言って昨日の続きを要求して体に触れて来る。

彼に迫られるたびに、私は、まるで初めて触れられるみたいにピクンと反応してしまう。

こんなの、どうやってなれたらいいの?

彼は、私の体がいちいち反応するのを面白がって喜んでいる。
省吾は、完全に私の反応で遊んでる。

キスされたり、抱きしめられたリ、絶えず私に触れていようとするのにも、彼にからかわれて居るみたいで、正直戸惑う。

そういうふうに、ちょっかいをかけられて話ができない。
だから、外に行こうと私の方から言った。


省吾が、メニューを見て楽しそうにしてる。

寝起きのけだるさ、体に残る違和感。

目が覚めてすぐの時は、体に感じてた違和感を、お酒のせいだと考えようとしたんだけど。

昨日、誰かと触れ合った行為は、拭いきれなかった。

省吾の言ってること、夢だと信じたかった。


元カレと錯覚した?全然違うって言うのに。

そんなこと、あり得る?
頭は、そういうふうに思いたいと思ってたのかな。

実際私は、省吾との事に元カレの行為をかぶせて、俊介の仕業だと思わせようとしている。

記憶はあいまいで、一夜の相手は、暗がりの中にいるみたいに、誰だったのか、
顔が浮かんでこない。

そのことを、いちいち省吾に打ち明ける義務はない。

そもそも、彼が私にとやかく言うことはないだろう。

彼が取る普段の態度に、私に対する気持ちなんてないんだろうから。

彼にしてみれば、一夜の相手ができて、ラッキーだったと思うだけだ。


そんなことより問題は、もっと別のことにある。

これから、どうすべきなのか……
何を、しなければならないのか。
動かない頭で考える。

彼が言う通り、もしあったことなら、すべてをなかった事になんかできない。

「飯なんて、何でもいいじゃん。冷蔵庫にあるもんでいいでいいだろう?」

ここに来る前も、外に出たくない。

ようやく説得しても、どこに行くのかで省吾と揉めた。

ファミレスと牛丼屋で意見が分かれたのだ。

「ほら、脂っこいものだけでないって。
ファミレスだって、和食のメニューがあるだろう?」

「さっと食べて帰りたかったから、牛丼チェーンでよかったのに」

通りの反対側に、オレンジの看板が見える。

そうしてたら、今頃店を出てるかもしれない。

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