クールな同期が私だけに見せる顔
無理じゃない。

無理だと思っても、やるだけのことはやらなきゃ。

後できっと後悔する。




「そんなところで、何やってんだ」
自然に足が動き出した。


「逃げようとしたって無駄だ」

後ろから晴夏に近づいて、中谷さんから引き離す。

やっぱりダメだ。

晴夏だけは渡せない。

中谷さんも譲らなかったらケンカになるかもしれない。

勘弁してくれ、会社の先輩だぞ。

こんな騒ぎ起こしたら、仕事どうなるか分からない。



「お前こそ、こんなところで、何してる」
目は中谷さんを威嚇したまま、晴夏の耳元でつぶやく。


ああ、でも。
どんなリスクを取ったって、晴夏なしではいられない。


足が震えてる。

晴夏に止めてって、拒絶されたらどうしよう。
中谷さんを選んだのに、余計なことするなって思われたらどうしたらいい?

晴夏をつかまえたまま、中に入るように言われる。

まずい。
中谷さんも、俺も譲らず熱が入ってくる。


「晴夏だけにしろって言われても、お前には、無理だろう?沢井」


「あなたには、関係ない。晴夏、行くぞ」

晴夏を抱えたまま部屋の外に連れて行こうとした。


「待てよ」中谷さんが呼び止めた。

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