クールな同期が私だけに見せる顔

「全然って……あの。気になる女の子とか、クラスに一人もいなかったの?」

「かわいいなって子は居たけどな。俺が自分で好きだって自覚する前に、相手の子の方から、付き合ってくださいって言われちゃうから。結局どうだったのかわからない」

「相手を好きになってる暇なんてないってこと」

「うん、まあね」聞いた私がバカだった。

いっそのこと、そのまま黙ってて下さい。

でも、ちょっと待って。

「でも、なんで私なの?多分、私あんたの好みと、かけ離れてる自覚があるよ。それに、あんたの事、好きだなんてひとことも言ってないし」

「そうだよな。うん。俺も意外だったんだ。まさか、晴夏にこんな感情抱くなんて。頭どうかしたのかと思ったよ」

「頭ががどうかしてるまで言う?」

「だって、本当なんだ。ずっと認めたくないって思ってたんだな。でも、認めちゃえば、案外いいのかもって思った」

「認めたくないのに認めた?何それ、最近のこと?いつから」

「はっきりしたのは、初めて晴夏と寝た日……」

私はあっけにとられた。


なんでた?なんでよ‼

「省吾の言ってること、全然わかんない。好きでもなかったのに、一晩共に過ごしたら愛情が湧いてきたなんて。そんなのあり得ない」

「いいよ。わかんなくても。俺が分かってるし」

そんなんじゃ、全然わかんないじゃん。
何がいいんだ?そう聞きたいのを、ぐっと我慢する。

なんか、私のこと丸め込もうとしてるの?

何か考えがあるの?

だいたいおかしい。

何年も前から知りあいなのに、なぜこのタイミングで好きだなんて言うのよ。

だいたい、あんたって私に好きだっていう素振り見せなかったじゃないの。
それを、急に好きになりましたって。

絶対変だ。

なんかある。多分、それを聞いたら彼のペースだ。


「分かった。説明なんていらないから。ようするに、こういうことなんでしょう?
私と付き合おうって思ったのは、体の相性が良かったとか?」

生まれてこのかた、そんなことで誉められたことはないが。

「まあ、きっかけはそうだけど」

「そっか」

そういうことか。


< 49 / 220 >

この作品をシェア

pagetop