クールな同期が私だけに見せる顔

好きだとか、付き合いたいって言われても。

彼の場合、素直に喜べない。その事忘れてしまいそう。

彼の好きは、一時的な気の迷いかもしれないのだ。

だいたい、この位のこと、今まで付き合ってきた女の子に散々言ってきたはずだ。

私だけが特別じゃない。


「からかうだって?晴夏、そうじゃないよ。
実を言うと、キスしてもらって嬉しいなんて、滅多に思わないんだ」

急に、不意打ちで、耳が溶けそうなこと言うな。

心の準備が…………

「省吾……
それじゃあ、たくさん女の子とキスしても、楽しくなかったみたいに聞こえるでしょう?」

私は、彼が、別の女の子にもそうしてきたことを、はっきりと思い出させようとした。

「楽しいっていうか。そうしたいからそうする。本能みたいなものだから。
楽しいには変わりないけど。君とのキスは、全然違う」

どう違うの?生徒にちゃんと教えて。

「キスなんて、みんな同じじゃないの?」
なに、このハイレベルな会話。

お願いだから、初心者にわかるように翻訳してください。

「なんて説明したらいいのかな。だから、違うんだって。俺も味わった事ない感情だから、はっきりつかむには時間がかかるんだ」

「そうですか」

「俺、あの後から晴夏以外の子に、キスして欲しいとは思わなくなったんだよなあ。
今は、晴夏の唇以外、欲しくない。
これは、やっぱりお前のこと好きっていうことだろう?」

「んん、そうかも知れないけど、そう言い切れるのかな」なんだ、この会話は。

「だから、ほら。確かめよう。
もっと……キスして」

半ば、強引に引き寄せられる。

省吾とのキスは心地いい。ずっとしてると天国にも行けるんだろうな。

天国なんて想像した事ないけど。


私が顔を近づけると、彼の腕に力が入る。

軽く触れるようにキスをすると、彼はっと息を飲んで耐えている。

彼の首に腕を巻き付けて、私にしては、長いキスをする。


彼は、何もしないでじっとしている。

無理に引き寄せようとはしないけれど、私が離れようとすると、そっと、元の位置に連れ戻して彼の方からキスをする。


「ねえ、省吾?いつまでキスしてるの?」
離れようとすると引き戻されて、キスをする。

この繰りかえしだ。

いったい、何のために、こんなことするの?



「ずっとさ。俺が君のこと好きって自覚するまで。
それと、君が俺のこと好きになるまで、一時間でも、二時間でも」


「そんなに長くは無理」

「だって、次に晴夏を抱くときは、晴夏が俺のこと好きだって、言ってからにするって決めてるから」

「それで、私があなたの事好きだって言うまで、そうしてるわけ?」

「ん、だから、早く言って」
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