クールな同期が私だけに見せる顔
省吾がむくれてる。
話しかけても、答えてくれない。
「なんで?そんなことで怒るの?」
口に出してみたけど、適当にかわされる。
私がどう思ってるとか、どう感じてるとか気にするの?
「放っておいて」
空になった缶を片付け、冷蔵庫から新しい缶を持ってくる。
「いらない?」
「ああ」
どうしちゃったの?
省吾って、そんなに繊細だったっけ?
見た目が軽そうだから、もっと自分勝手な奴だと思ってた。
長く恋人と付き合うほど誠実な奴じゃないし、きっと自分勝手な奴なんだろうと。
相手の事なんて、二の次で自分の事ばっかり考えてる奴だろうなと思ってた。
そんなふうに。
なのに。
目の前にいる彼は、傷つきやすくて、とても優しい。
省吾って、こんなんだっけ?
世の中に大勢女性がいる中で、まるで、彼の目に映るのは、私だけしかいない様に見える。
こんなふうにしてくれるなんて、想像してなかった。
彼は私の背中に腕を回して、ぴったりと体を寄せてきた。
「腹立つけど、一人でいるよりはいい」
「うん」
抱きかかえるように眠るのが好きみたいだ。
「この間も言っただろう?
もう、抱いちまったもんは、元には戻らない。
なかったことにできないって。とっくに、お前は俺のものだ」
私は、彼のふわっとした柔らかい髪に触れながら、時々頭のてっぺんにキスをする。
省吾は、そのままじっとしている。
彼は、私の腕の中で言う。
「なんていうのかな。お前は、なんか違うんだな」
「何が違うっていうの?」
私、何か変だった?
「ホント、ムカつく」
自慢じゃないけど。過去に付き合った相手は多いわけじゃない。
何も特別なことをしたわけじゃない。
経験があれば彼の言葉にうなずけるのかな。
でも今の私には、彼の言ってることが分からない。