クールな同期が私だけに見せる顔


省吾は、相手の感情を確かめるように少しずつ、激しいキスと優しいキスを繰り返す。


強引にキスされた後は、今度は、そっと触れるような優しくキスをする。


省吾って、こんなふうにキスするんだ。

省吾のキスを、知ることになるなんて。

顔がみるみる赤くなる。



彼に対しては、知らないことも多かった。


「晴夏?」

「ん?」

「俺の名前呼んで……」

「なに、省吾」


彼は、それじゃ、ダメだって言いながら笑って離れた。

そうして、私の顔をのぞき込んでいる。


「なんだよ、その心のこもってない言い方。やり直し」

「やり直しって?」

「俺には、100回でもキスしてくれ。そう言う権利があると思うけど。
この間は、お前、俺の腕に居ながら、別の男の名前、呼んでただろ?」

私は、驚いて省吾を見た。

なに、それ。

「なんのことよ」

と言いながら、ぼんやり思いだした。

思い出して、彼のいうことは理解していた。

私は最初の頃、俊介さんと間違えてたんだ。


「省吾、今は、ちゃんとわかってるから」

「本当に分かってるのか?
抵抗するってひどくないか?俺とじゃ嫌なのかよ」

省吾は、そう言って私を突き放した。

「ごめんって。省吾」

私は、彼の頭を胸に抱きしめる。

躊躇してるのは、その事じゃないって。

< 62 / 220 >

この作品をシェア

pagetop