フラワーガーデン【アリシア編】
おかしいわ。

手綱が装着してある。

鞍も……
鐙も……

「お嬢さん、駅はもう間に合いません。ですから、『英雄の丘』を下りていかれるといいですよ。あそこの裾野はカーブがきついから汽車もかなり慎重にスピードを落としますから」

寝ていたはずのポールが戸口に寄り掛かりながら笑っている。

「ポール!」

「大旦那様は、車は出すなとは言いましたが、『馬は出すな』とは言ってませんでしたから」


ポールが日に焼けた顔から白い歯を覗かせて笑う。


「それにおいらは今、昼休みでお昼寝中ですから何も見てません」

「ありがとう、ポール!」

「さぁ、お嬢さん。時間が無いんでしょう!急いで」


私は彼に抱きつき頬にキスをすると、急いでポールが屈んで組んでくれた手の上に足を掛け、ひらりとペガサスにまたがる。






< 124 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop