フラワーガーデン【アリシア編】
「い、いやっ……!」
「アリシア、歌を歌って下さい」
「え?!」
「僕は傷心中ですから」
「エド……」
「それでも、あなたを愛している。そんな憐れな男のせめてもの心の慰みに子守唄でも歌って下さい」
エドは仰向けになったまま行儀悪く靴をポンポンと脱ぎ捨てると、ネクタイを緩めて「疲れたぁ……。あなたも今日一日愛想笑いで疲れたでしょう」と呟き、目を瞑る。
「そうだ。グリーンスリーブスがいいなぁ……」
「ダメ。私、音痴だから」
「だったら、尚更聞きたいですね」
エドはくすっと笑う。
「僕は物心ついた時から家庭が無かった。両親の仲は完全に冷え切っててね。毎晩、両親の部屋からは言い争う声が聞こえた。
そんな時、いつも耳を塞いで、この歌を口ずさんでは救われていたんだ」
そんなことが……。
小さかったエドを思い、胸が痛む。
「アリシア、僕のことをもっと知って下さい。こんな話をするのもあなただけだ」