先生だって遊びたい
食事を済ませると寮までの道のりを皆んなで歩いて帰る。

皇輝は、午後から試合に出なかった1、2年生の練習があるからと寮の前で別れた。

美鈴は一度寮の部屋に戻り着替えを済ませると夕方から【INFINITY】に向かった。

「あれ?美鈴ちゃん早いねぇ?」と店長から声がかかる。

「うん、なかなかゆっくり来れなかったから」

「この間の彼は一緒じゃないの?」

「あっうん、ひとりだよ今日はラストまで居るからね」

「そぅか?まぁ楽しんで行ってよ」

昔からの顔見知りと楽しい時間を過ごす。

 (こんな楽しい時間久しぶりかも ウフフ。やっぱり最高!)

「あれ美鈴?やっぱり美鈴じゃん!」

「あっ……」

声を掛けて来たのは野々村廣喜(ののむらひろき)インターン生の時半年程付き合っていた。
確か彼は実家の病院を継いだと聞いている。

「なんで廣喜が居るの?あんたの病院こっちじゃないでしょ?」

「あぁ学会で出て来てるんだ」

 (学会ねぇ…)

「美鈴、医者辞めたんだって?確か美鈴の居た病院って忙しいだけで儲からない小児科やリスク高い産科に力入れてる病院だったよな?あんな病院じゃ医者も嫌になるよなぁ…やっぱり美鈴も見切りつけた訳だ!良かったらうちの病院で雇ってあげようか?うちなら稼がせてあげるよ!」とニヤけた顔で言う。
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