先生だって遊びたい
寮に戻る車の中

「なぁ本当に寮に戻るのかよ?」と不満そうな皇輝。

「当たり前じゃない。明日は学校あるし外泊届も出してないし」

美鈴は当然の事を言う。
皇輝が職員用の連絡網でメールを流してるという事は光浦先生にも連絡が入っているわけで、このまま無断外泊となれば『正式な報告もなしに無断外泊とは生徒に示しが付かない』とかなんとか小うるさく言われてしまう。
それよりなによりこのまま皇輝と居たら明日の朝は足腰が立たなくなっていると美鈴は恐れていた。



朝、皇輝からの2度目のプロポーズの後何度も……

「美鈴、好きだ!愛してるよ」
「皇輝、私も愛してる……」



「美鈴、好きだ!愛してるよ」
「うん、私も……」



「美鈴、愛してる!もう一回」
「えー……」



「美鈴…」
「もう無理!無理だって……」



「なぁー」
「帰る!」と言って、今、寮に帰る車の中にいるのだ。

「こんなに早く帰らなくても良いじゃんか!」

今はまだお昼前、皇輝は不貞腐れて居るようだ。

「ねぇこの指輪いつ用意していたの?」

美鈴は嬉しそうに左手掌を顔の高さまで上げ薬指に光るそれを見つめる。

「美鈴に会って直ぐかな?」

皇輝は真っ直ぐ前を向いて運転しながら答えてくれる。

「会って直ぐ?」

「美鈴と初めて飲んだ時、あぁ俺こいつと結婚するわって思って直ぐに用意した」

「初めて飲んだ時って!初めてあった日だよね?」

「あぁそうだよ」

 (……初めてあった日に結婚決めてたとか本当に居るんだ?こういう人)

「でもさぁ指輪まで用意して私が結婚しないって言ったらどうしてたの?」

「はぁー?!そんなのありえないだろ?」

「は?…」

「この俺が振られるとかありえないし」

 (その自信はどこから来る?……実際好きになっちゃったけど…)




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