Ri.Night Ⅳ

「教えてやろうか?蒼井 遥香を襲った理由」


おもむろに顔を上げた男は至極愉しげに歪んでいて。

その表情にピクリと眉が引き攣った。



「“ホンモノ”だからだよ」


『ホン、モノ……?』



どういう意味?



『詳しく──』


「おっと悪いな。電話だ」


ジーパンのポケットから携帯を取り出した男は、頬を緩めたまま電話の相手に相槌を打ち始めた。


今なら遥香さんを助け出せるだろうか。


いや、恐らく無理だろう。


遥香さん達を捕らえている奴等だけなら未だしも、このカイとかいう男は油断出来ない。


さっき戦った時に思った。

この男は強い、と。


それに、遥香さん達が居る以上、下手に手を出すと二人がどうなるか分からない。


もう一人誰が居れば何とかなるのに。


十夜、早く来て……。





「──“任務完了”だ」


おもむろに耳から携帯を離した男はそう言い放つと、馬鹿男に向けて小さく頷いた。

その頷きに馬鹿男がにやりと笑う。


……任務、完了?



「奴等は?」


「そろそろ来る」


キョウという男がそう言い放った直後、突如お店の扉が悲鳴を上げた。


なにっ……!?


室内に居る全員が扉へと目を向けると、扉からはドンッ、ドンッ、と立て続けに何かがぶつかる音が聞こえてきて。


「リン……!!」


その音と共に十夜の声が耳に届いた。


十、夜……?

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