Ri.Night Ⅳ
十夜の声を聞いた瞬間、フッと身体の力が抜け落ちる。
……良かった。これで遥香さん達を助けられる。
もう、大丈夫だ。
──そう思っていたのに。
「やっ……!」
「……っ、遥香っ!!」
『遥香さん!?』
この期に及んでまだ悪足掻きをするのか。
扉に気を取られている間に事態は一変し、遥香さんに危機が迫っていた。
遥香さんの喉元には小さなバタフライナイフ。
それを構えているのはキョウと呼ばれている男だった。
『遥香さん!!』
「ハイ、近寄らなーい」
『……っ、』
走り出した直後、立ちはだかったのは馬鹿男。
男は舌なめずりしたかと思うと足を一歩踏み出し、あたしの腕を掴んで思いっきり引き寄せた。
バランスを崩されたあたしは足を踏ん張ろうと力を入れる。
けれど、既に先読みされていて。
『クッ……!』
気付いた時にはもう地面へと横向きに倒れ込んでいた。
「よいしょ」
身体を起こす暇もなく強制的にうつ伏せにさせられ、男が馬乗りになる。
『……っぅ、』
辛うじて腕だけは動かせられたけど、出来る事と言えばせいぜい男の服を掴む事ぐらいで。
それ以上はどうする事も出来ない。