猫柳の咲く季節に


謝ろうと思って、手を離したら、逆に胸に手が飛んできた。


「うるさいっ!伊月になにがわかるんだよ!そんなにネコが気にいったなら、勝手に飼えばいいだろ!」


その口調は、本気だった。


怒りに溢れた目で俺に訴えかけてくる。


俺は怖くなって、その場を飛び出していってしまう。


そのあとどうなったかは覚えていない。


だけど、次の日親と一緒に学校に呼び出されたことは知ってる。


母さんたちが必死に謝る中、俺らは終始むすっとしていた気がする。


それで、最後に握手させられて、ぎこちない笑顔をつくって、無理やり仲直りしたんだ。

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