強引社長の不器用な溺愛






そうして年は暮れ、年末年始、私は長野の実家に帰った。
この前行った新潟と張るくらいの豪雪地帯の出身である私。

今年は雪が少なめだという。
東京で10年ほど暮らしていると、少なめだろうと多めだろうと一緒に見えてしまうから不思議だ。

実家はシーズン中ということもあって忙しい。
私の実家は……まあそのへんはどうでもいいんだけど、とにかく冬はかき入れ時なのだ。
毎年年末年始は、のんびりしに行くんじゃない。手伝いに行くのだ。

だから本当の意味でゆっくり休むためには、少し早めに東京の自宅マンションに戻らなければならない。
1月3日はその休養のための一日だった。

どうも今年は、社長の仕事に付き合うことになっちゃったけど。




1月3日当日、私たちは10時に吉祥寺駅の改札内で待ち合わせた。

会うなり社長は、挨拶もそこそこに私を伴って電車で移動。
どこに行くんだろう。
まだ、要領を得ない私がいる。

移動しながら、社長が私の格好をチェックしてくる。


「チャコールグレーのジャケットにスカート。うん、パンツスタイルじゃないところがいい。色はベージュかオフホワイトの方がよかったかもな。指定すべきだったな、悪い」


何が悪いんでしょうか……おじさまウケの話?
やっぱ明るい色味の方が接待向けだったかな。

そんな風に私を評価をする社長自身は、紺のジャケットにブルーのシャツ、パンツは異素材でツイードだ。
私に準フォーマルって言っておいて、なんだかくだけて見えるのは気のせい?

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