強引社長の不器用な溺愛
「篠井、髪さ、ひとつ結びじゃなくてハーフアップにできるか?」


「え?できますけど」


「じゃ、目的地に行く前にコーヒー飲むから、化粧室で直してこい。ピンとかシュシュとか欲しければ途中で買ってやるから」


社長が“ハーフアップ”という単語を知っていたことにおおいに驚くけれど、髪型も指定?

もしや、これから会うのは、女子の好みがうるさい方?
ご年配の社長さんとか?


「いえ、今あるものでまとめられますよ」


謎が深まる一方です。

四谷で電車を乗り継ぎ、後楽園駅で下車し、社長の言う通りコーヒーショップに立ち寄る。
どうやら時間調整も兼ねる様子だ。

都心部まで来たけれど、時間的にも場所的にも、お宅訪問な感じだよね。
髪を早速直し、戻ってくるとカフェラテに唇をつける。


「清塚さんとは連絡とってんのか?」


不意に言われ、めちゃくちゃ驚いた。
なんで、社長がそんなことを言い出すのかわからない。

この前の出張で出会った開発責任者の清塚さん。
彼の視線があからさまだったせいかな。結構、気に入られちゃったっていうのは、傍目にもバレバレなんだ。


「メールを何度か。雪がたくさん降ったとか、新年のあいさつとか、世間話程度ですけど」

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