強引社長の不器用な溺愛
悪いけど高学歴の才女ですから、下手に大企業の駒になりたくない。
仕事の中枢に近づく前に結婚や出産の人生のイベントが挟まって、マミートラックに陥って……それなら、小さくても融通が利いて、早くから『世界を動かしているぜ!』という喜びを感じたかった。

まー、あの時は若かったってなもんで、現実はちょっと違ったわけです。
実際この会社に勤めてみたら、人手は足りないし、社長はマックス適当だし、毎日ヒイヒイ言いながら働いてる。

満足はしているけど、ややコレジャナイ感はたまに……。

八束東弥が魅力的でパワーに溢れた逸材なのはわかる。
どんなに私が小賢しくても、彼の発するオーラの前には何の意味もない。

だから、私は知恵を絞って彼がやりやすいように裏方に徹するのだ。
私がお膳だてすれば、八束社長は100パーセント以上の仕事をしてくれる。
私が描いたことを実現するパワーがある。

今の私たちの関係はちょうどいい。

適当ガキ大将社長とデキル(美人)秘書。

ふふふ、うまく転がして、私のサクセスライフの礎にしてくれるわ。


「篠井、何ニヤけてんだ」


耳元で響いたそのでかい声は……、私はばっとドアの方を振り向いた。


「社長!戻ってこられたんですか?」


そこには八束社長の姿。私の背後から、顔を覗き込んでいる。
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