強引社長の不器用な溺愛
頭を下げた社長に、父が言い捨てるように言った。
「絹と婚約ってのは嘘か。あんたの事情で嘘をつかせたのか?でもな、一度でも女にそういう話が立つってことは、どういう意味かわかるか」
やっぱり、父は私が根も葉もない嘘で、傷つけられたと思っているみたいだ。父の立場からしたらそうかもしれないけど、私本人はノーダメージなんだってば。
これ以上、大事にせずに二人とも鉾を納めてほしい。
「全部、お話させてください」
私が何か言う前に、社長が口を開く。
それから社長は、八束家の事情をつまびらかに父に語った。
自分の立場、お兄さんの幸弥さんの立場、お母様の考え。
幸弥さんのためについた嘘に、私を巻き込んだこと。
話終えるまで、父は黙って聞いていた。
「申し訳ありませんでした」
社長があらためて頭を下げるけど、父は険しい顔のままだ。
「あんたの家の話はわかった。俺と絹がとばっちりを食ったっていうのもな」
父は厳しい声音で言う。
「やはり、絹は早々に実家に戻そうと思う。どっちみち、近所から婿をもらって、うちの旅館を継がせる気でいた娘だ」
「お父さん!旅館は宗太(そうた)が継ぐんでしょう?私は、東京で仕事を続けるよ!」
弟の宗太は、実家暮らし。近くの会社に勤めながら、繁忙期は旅館を手伝っている。
弟が旅館を継ぐことで、家族も旅館の従業員も認識が一致しているというのに。
つまりは、父は私を引っ張って帰りたいあまり、こんなことを言い出したのだ。
「絹と婚約ってのは嘘か。あんたの事情で嘘をつかせたのか?でもな、一度でも女にそういう話が立つってことは、どういう意味かわかるか」
やっぱり、父は私が根も葉もない嘘で、傷つけられたと思っているみたいだ。父の立場からしたらそうかもしれないけど、私本人はノーダメージなんだってば。
これ以上、大事にせずに二人とも鉾を納めてほしい。
「全部、お話させてください」
私が何か言う前に、社長が口を開く。
それから社長は、八束家の事情をつまびらかに父に語った。
自分の立場、お兄さんの幸弥さんの立場、お母様の考え。
幸弥さんのためについた嘘に、私を巻き込んだこと。
話終えるまで、父は黙って聞いていた。
「申し訳ありませんでした」
社長があらためて頭を下げるけど、父は険しい顔のままだ。
「あんたの家の話はわかった。俺と絹がとばっちりを食ったっていうのもな」
父は厳しい声音で言う。
「やはり、絹は早々に実家に戻そうと思う。どっちみち、近所から婿をもらって、うちの旅館を継がせる気でいた娘だ」
「お父さん!旅館は宗太(そうた)が継ぐんでしょう?私は、東京で仕事を続けるよ!」
弟の宗太は、実家暮らし。近くの会社に勤めながら、繁忙期は旅館を手伝っている。
弟が旅館を継ぐことで、家族も旅館の従業員も認識が一致しているというのに。
つまりは、父は私を引っ張って帰りたいあまり、こんなことを言い出したのだ。