強引社長の不器用な溺愛
「絹は俺のものだ。あんたのダセエ逆恨みでホイホイやれるか。あんたがその気なら、俺たちはどんな手を使っても、副社長サイドをつぶす」


清塚さんがぐっと詰まる。
畳みかけるように俺は言いきった。


「二度と切り札に絹の名前を出すんじゃねぇ!」


しばし、沈黙があった。

俺は清塚さんを睨みつけ、篠井も黙っていた。

うつむいた清塚さんは随分してから顔を上げる。か細い声が聞こえた。


「……僕が間違っていることはわかるんです」


その綺麗な瞳に涙がにじんでいた。
こんなに情けない男の涙が、あんなに綺麗なんて反則だろ。映画みたいな光景だ。


「悔しくて、悲しくて、暴走しました。……大沢社長に、僕はなんてひどいことをしてしまったんでしょう。僕を信頼して、責任者に抜擢してくれたのに……」


ほろほろとこぼれる涙。おいおい、この綺麗な泣き顔に、どうか篠井がほだされませんように。


「清塚さん」


横から、篠井が一歩進み出た。
それから、ずっと手の中にあったスマホを清塚さんに向ける。

そして、スマホに唇を寄せると、言った。


「……よろしくお願いします」
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