強引社長の不器用な溺愛
「不倫ではありませんのでご安心ください」


「いや、でもおまえさ、男いるっぽくしてるけど、全然普通の男の影が見えないんだよな」


どきっと心臓が跳ねた。

なにそれ、どうしてそんなことをわかるの?
私の後、つけた?
それとも心が読める系のライトノベル的スペック?

私が背中に冷や汗をかいていることを知らない社長は続けて言う。


「男がいる幸せ感とか、生活や雰囲気ににじむ男の気配っていうのが、篠井にはない。ってことは、相手は不倫の既婚者かと」


どうやら、あくまで勘のようだ。
危ない、危ない。下手な言い訳をしなくて正解だ。


「社長の推論であれこれ言わないでください。私は_____」


言いかけた言葉を遮って、社長が顔をあげた。
子どもみたいに悪戯な笑顔だ。


「あ!わかった!実際のところ、ガチで彼氏ナシなんだろ!見栄っ張りの篠井は、彼氏いないなんて言いたくないから、それっぽく振舞ってたんだな」


ドキーン☆なんて生易しいものじゃない。
ずっきぃぃぃんと心臓に響く衝撃。

この男、核心突き過ぎ。声が震えないように生唾を飲み込む。


「何を言ってるんですか。失礼ですよ」


「いや、だっておまえやっぱ彼氏いる女には見えないよ。実は恋愛経験ゼロとか?」


核心パート2でーす。
なにこいつー。
< 26 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop