蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
これでは、どうにもこうにも、いつまで経っても料理は出来上がりそうにない。

考えを巡らせた雪愛は、蘇芳先生に提案してみた。

「…蘇芳先生、手伝って下さい。それなら、ずっと一緒にいられるでしょう?」

そう言って微笑めば、蘇芳先生は、仕方なく頷いた。

…本当の蘇芳先生は、10歳も年上なのに
子供だな、なんて思いながら、でも、こんな蘇芳先生を知ってるのが、自分だけだと思うと、凄く嬉しい雪愛だった。

…。

なんとか出来上がった朝食兼昼食を、テーブルに並べ終わると、雪愛は椅子に腰掛け、蘇芳先生も腰掛けた。

「…蘇芳先生」
「…ん?」

「なんで、隣なんです?」
「…傍に居たいから」

そう言って微笑まれると、もう、と、笑うしかない。

…ここまで甘えられると、逆に嬉しいと思ってしまうのは、母性本能?

食事が終わり、雪愛は食器の片付けを、蘇芳先生は、やっと雪愛から離れ、身支度を始めた。

お互い、出る準備が出来て、玄関先に向かった。
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