蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
準備が終わるまで、薫子は、蘇芳先生の傍を離れなかった。

「・・・薫子」
「・・・何よ」

ずっと、薫子に背を向けていた蘇芳先生が振り返り、薫子を見据えた。

「いい加減、俺に執着するのは止めろよ」
「…執着なんてしてないわ」

蘇芳先生の言葉に、薫子はそう言って、蘇芳先生を睨んだ。

「薫子が傍にいたら、俺はいつまで経っても、彼女も出来ない」
「…私がいるじゃない」

薫子の言葉に、蘇芳先生は溜息をついた。

「薫子、俺は薫子の事は、友人だと思う。たが、女としては見れない。この意味分かるな?」

諭すように言う蘇芳先生。

薫子だって分かっている。自分を女として見ていない事くらい…だが、どうしても、蘇芳先生を諦められない。

…何故、ここまで薫子は蘇芳先生に執着するのか。

それは、数年前、薫子には、結婚を決めた人がいた。だが、その恋人に裏切られ、傷ついた薫子をドン底から救い出したのは、蘇芳先生だった。
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