自殺列車
もし、自分たちがそのコマにされているのだとすれば、許せないことだ。


「人体実験でもゲームでもいいけど、ここから出る方法はなにもないのかしら」


愛奈が窓に触れてそう言った。


澪が出て行った窓はまだ開けられた状態になっていて、それはまるで闇の中へ誘っているように見える。


「とりあえず、危ないから窓は閉めるね」


あたしは立ちあがり、窓に近づく。


その時だった。


「いいよ、俺が閉めるから」


と、窓の近くにいた優志が窓へと手を伸ばした。


その瞬間、優志の体がフワリと浮いたのだ。


「え……?」


あたしは目を丸くして優志を見る。


まるで時間が静止しているような感覚だった。


しかし次の瞬間、窓へと伸ばしていた優志の手が暗闇へと引き込まれるのを見た。


優志の体は抵抗する暇さえ与えてもらえず、一瞬にして窓の外へと投げ出されてしまったのだ。
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