キッチン【短編】
「うわ、もしかしてこれタコとか?」


「お願いですからスルーしてください。」


「えー、良いじゃん。ちゃんとタコに………見える?後ほら、こっちの卵も旨い?」


「ーーーケチャップ掛けただけです。」


なんだかんだと言いながらも高嶋さんは綺麗に全部食べてくれた。


毎日迎える朝なのに、好きな人と一緒って言うだけで全てがキラキラして見える。


さっきまで、キッチンに見えていた幻影が嘘のようだ。


「ミチル。」


「はい?」


「食べたらどこか出掛ける?」


「本当に?」


「うん、折角の休みだしね。」


わぁ、このままデートとか嬉しすぎる。


「あっ、でも私、服とか……」


急遽お泊りしたので服が昨日のままだ。


折角のデートなのでやはりお洒落したい。


「そっか、昨日のままだもんな。じゃあ、ミチルの家に一旦、寄ってから出掛けるか?」


「よろしくお願いします。」


「後、分かってる?その時にお泊りセットも用意するの忘れんなよ?」


「ん?」


「折角の週末じゃん。明日も休みなんだからミチルの帰るところは今日もここ。」


悪戯っ子みたいな顔して高嶋さんが言う。


「は、はい……。」


「よしっ。片付けたら出掛けるぞ。」


高嶋さんが食べたお皿を片付けるので急いで私もお皿を持って立ち上がった。


キッチンに二人並んでお皿を洗う。


もう、幻影なんて見えない。


そこに見えるのはこれからの私達。


彼に教えてもらいながらフライパンを握る私の姿。


次こそはリベンジだっ。


料理本を買おうか。


それとも思い切ってスクールに通う?


好きな人の為に楽しげに料理を作る私の姿を思い浮かべる。


だけどーーーー








「明日の朝は高嶋さん作ってくれますか?」








「喜んで。」


そう言うと彼は私に甘いキスを一つ落とした。









【キッチン】


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