何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「違うのレイヤ!
この人は私の婚約者じゃない!」



私の言葉にレイヤは一瞬だけ目を見開いた。
でも、すぐにその顔は顰められる。



「お前……嘘をついたのか?」



レイヤが見ているのは私ではなく遥斗だった。
どうやら誤解は解けたみたいだ。
ホッと胸をなでおろしていると……。



「嘘なんかついてねぇよ。
俺は確かに梓沙の恋人だぜ?」



不敵な笑みで言う遥斗にその場の空気は凍りついた。
また誤解させる様な事を……。
タメ息が出るのを抑え遥斗の方へと顔を向けた。


きっと今の私の顔は不機嫌が隠せていないだろう。
それを裏付けるかの様に遥斗は盛大にタメ息をついた。



「なんて顔してんだよお前は」



パチンと軽快な音が響くのと同時に私のオデコに痛みが走った。
痛っと口に出す前にオデコを触る。
じんじんする部分を手で撫でながら遥斗を睨みつける。



「何でデコピンするのよ!?」

「お前が変な顔をしてるからだろーが!」



ゲラゲラと笑う遥斗に怒りを覚える。
何か仕返しをしないと気が済まない。
治まらない怒りを胸に私は背伸びをしながら腕を伸ばす。



「痛ッ!」



目の前にはオデコを押さえながら呆然と私を見る遥斗がいた。
それを見れば、さっきまで胸を支配していた怒りが消えていく。



「さっきのお返しだよ!」



満足げに笑えば、遥斗はプッと吹きだしながら口角を上げた。



「ガキだなお前」

「はぁ?遥斗に言われたくない!」



大体、先にデコピンをしてきたのは遥斗だ。
だから遥斗にガキと言われる覚えはない。


しばらく言い争っていれば、後ろから小さなタメ息が聞こえてきた。
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