何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「如月さん」

「は、はい!!」



考え事をしていたら手が止まっていたみたいだ。
部長が私を呼んでいる。
もしかして怒られるのだろうか、そう思いながら部長の席へと急ぐ。



「部長、お呼びでしょうか……」

「貴方にこの資料をお願いしたいのですが……よろしいでしょうか?」



私の顔色を伺う様な部長の態度に現実へと引き戻される。


そうだ、この人が私を怒る訳がない。
この人にとっては私は社長の婚約者でしかない。


他の社員には使わない敬語を私には使い、機嫌を取る様に笑顔を浮かべ続けている。
もう慣れていたはずなのに、胸がズキズキと痛みだす。


遥斗やレイヤと同じ時間を過ごすようになって、私は1人の人間になれた気がしてた。
でも……所詮私は……拓哉さんのお飾りでしかないんだ。



「如月さん……?今の仕事が厳しいなら他の者に……」

「いえ、やらせて下さい」



私が笑顔を浮かべれば、部長は安心した様に笑った。



「ありがとうございます。
貴方が作る資料は分かりやすいので助かります」



部長の言葉はきっとお世辞に違いない。

だけど……仕事関係で褒められるのは凄く嬉しい。
思わず顔が緩むが、引き締めて資料を受け取る。



「期待に応えられる様に頑張ります」



部長に頭を下げデスクへと戻る。
頑張らなきゃ、パソコンに向き合い早速仕事へと取り掛かった。
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