何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「俺はアイツの支えになれなかった。
俺に……もっと力があれば九条は苦しまなくてすんだかもしれねぇのに……」



震える声が私の耳元で消えていく。
遥斗のせいじゃない、違うよ……。
そう言いたいのに上手く言葉が出せない。
何を言っても遥斗には届かない気がして……。



「馬鹿だよな俺……。
アイツを救う事が出来なかった。
そんな自分に腹が立って……その償いみたいに何でも屋を始めた。
もう誰かの苦しんでいる顔が見たくなかった……」



遥斗の想いを知った今、私に何が言えるの?
さっきまで酔っていた頭はすっかりと冴えていた。
それにも関わらず言葉が出てこない。


遥斗が抱えていた物は凄く重たくて、私なんかではどうにもできない。
何でも屋が遥斗にとっての“償いの場所”だなんて……。
彼は今まで何人もの人の苦しみや悩みを解決してきた。
でも遥斗自身は……凄く辛かったに違いない。


沢山の人が笑顔になっても、遥斗が1番見たかった笑顔は手に入らないから。
だから……彼は長い間、ずっと苦しんできたんだ……。



「こんなの……何の解決にもなってねぇのに……。
こんな理由で“何でも屋”をやる資格なんてねぇよな……」

「そんな事ない!」



私は遥斗の体を少し離して、真っ直ぐと目を見つめた。
真っ赤に染まる遥斗の目を見た瞬間、心が鷲掴みにされた気分になる。
こんな状態になるまで我慢してたなんて……。
遥斗は馬鹿だよ……。



「梓沙……何でお前が泣いてるんだよ……」



呆れた様に小さく笑うと遥斗は大きな手で私の目元を優しく拭った。
遥斗は自分が辛い状況なのに、こんな時にも優しかった。
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