何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「今のうちに逃げてください」

「……」

「私は大丈夫ですから、早く!」

「本当に馬鹿な子だね……。
そんなアンタだからハルさんも……」



カオルさんは小さく呟くと明後日の方を向きながら口を開いた。



「レイ!!
梓沙ちゃんを頼んだ!!」

「言われなくてもそのつもりだ」



そこから出てきたのはレイヤだった。


レイヤは真っ直ぐに私に向かって歩いてくると迷う事なく私の手を掴んだ。
痛いくらいに強い力だけど凄く安心する……。



「レイヤ……どうしてここに……」

「話しは後だ。
今は脱出する事だけを考えろ」

「脱出って……」



この屋敷から出られるって事……?
もう出る事がないって思っていたけど……本当に……出られるの?


縋る思いでレイヤを見上げれば無言で返される。
でもその代りに力強い頷きをくれる。


私はここを出ていいんだ。
自由になっていいんだ……。



「……うん」



私も力強く頷き返せばレイヤは私の手を引っ張り走り出す。
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