何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「可愛い……」

「……何を言っているんだ」



思わず出た言葉に拓哉さんはさらに顔を紅く染める。
こんな顔もするんだ……。
初めて見る彼の顔に私は胸が温かくなった。



「梓沙」

「はい」

「……アイツの会社なんか行くな」

「え……?」



また弱々しい声が響き渡ったと思ったらキツク体を抱きしめられる。
痛いとか苦しいとか……そう言った感情を忘れるくらい彼の声は私の胸を刺した。
どう言ったら私の気持ちが伝わるのだろうか。
そう思っていれば拓哉さんは私の顔を黙ったまま見つめる。



「俺から離れるな」

「……」

「お前がいなくなったら……俺はどうしたらいいか分からない。
お前に出逢う前の自分が……もう思い出せないんだ」



拓哉さんが……ここまで私の事を必要としてくれているなんて知らなかった。
それなのに私は……拓哉さんを裏切ろうと……。
ギュッと拳を握りしめ私は笑顔を作る。



「思い出さなくていいんですよ。
……ずっと私が傍にいますから……」



そうだよ。
私の居場所はここだ。
拓哉さんの腕の中が……拓哉さんの隣が私の居場所。
だから迷う必要なんてなかった。
迷うなんて馬鹿だ……。
ごめんなさい……拓哉さん……。
一瞬でもあなたを裏切った私を……許して下さい……。
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