何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
私が出来る事
散々泣いて落ち着いた私は屋上で1人、風に当たっていた。



「……梓沙ちゃん……」



後ろから聞こえる切ない声に私は振り返る。
そこには哀しそうな顔をしたお義兄さんが立っていた。



「お義兄さん……どうしたんですか?」

「……キミを呼びに来たんだ。
拓哉が起きて……キミを探している」



さっきまで眠りについていた拓哉さんが目を覚ました。
だとしたら早く行かなければならない。


きっと彼はまた暴れているに違いない。
まだ体は良くなっていないのに、これ以上無理をしたら……。


私は病室へ向かおうと足を進める。


でも、その足は動かなかった。



「梓沙ちゃん」



何故なら、泣きそうな顔でお義兄さんが私の腕を掴んでいたから。
< 381 / 430 >

この作品をシェア

pagetop