何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
ゆっくりと立ち上がり部屋の中にある姿見の前に全裸で立つ。



「うわぁ……凄い……」



首元や胸に数え切れないくらいの紅い華が咲いていた。
独占欲の表れ……この華は私が拓哉さんの物であるという証だ。
彼なりの愛情表現でもある。


独占欲が強い拓哉さんはよくキスマークをつける。
でも今回は異常だった。
首筋や胸はもちろん、お腹や太もも手首なんかにもついている。
それはもう……寒気がするくらいに……。
それでも彼の愛を受け入れる私はおかしいのだろうか。


昨日の拓哉さんの寂しそうな顔を見た時
私の胸は張り裂けそうなくらい苦しくなった。


そして同時に……拓哉さんを守りたいと思った。
色々なモノを抱えている拓哉さんを……。
私が守ってあげたい……この先ずっと。
もう2度と彼が傷つく事がないように……。


そう思いながら首筋のキスマークに触れれば一瞬だけズキリと頭に痛みが走る。
フラッシュバックをする様に私の頭の中にはある人の言葉が浮かんだ。



『こんなに小さな体で溜め込んでんじゃねぇよ。
辛い時は吐き出さねぇと……参っちまうぞ』



どうして……?
どうして昨日会ったばかりの五十嵐さんの顔が目に浮かぶの……?


小刻みに震える体。
昨日の出来事が鮮明に頭に浮かんでくる。


五十嵐さんとぶつかって、倒れそうになった時……。
私を支えてくれたこと。


私の心を見透かす様な真っ直ぐな瞳。


そして……。
恐怖から救ってくれた大きな手。
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