何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「馬鹿って……。
私は悩んで……」

「じゃあ聞くけどよ……。
セクハラを我慢して取引が上手くいったとしてお前は嬉しいのか?」

「……会社が……」

「会社じゃなくてお前個人の事を聞いてんだよ。
そんなんで手柄立てて……お前は堂々と胸張っていられんのか?」



五十嵐さんの真っ直ぐな目が私に突き刺さる。


堂々と胸を張る……。
その言葉に私は顔を俯けた。


いつからか、私は堂々とするという事を忘れていた。


拓哉さんと付き合い、柊家と関わる様になってから……。
不甲斐ない自分ばかりが目につく様になり、自分の意思は消えていった。


いつからか拓哉さんの後ろへと隠れていた。
意思を持たない人形の様に。



……高校生までの私はもっと活発的だった気がする。


本能的に動いて、感情のまま突っ走って。
どんなに無謀と思われる状態でも……我武者羅になって走り続けていた。


その時の私だったら……今の状況に陥ったらどうするだろうか。


考える様に目を閉じた。


でもすぐに答えは浮かんでくる。


きっと……。
ううん、絶対……。



「胸なんて張れないよ!!」



堂々と立ち向かっていっただろう。
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