何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「まだ新人のくせに社長の婚約者だからって重要な仕事を与えれれてさー……。
調子のってんじゃねぇよ」

「そうそう……。
どうせコネで入ったくせにね~」



ヒソヒソと聞こえるのは女の先輩たちの会話だった。
それが私の事だと言うのはすぐに分かる。

でも、それを聞いてもなんとも思わなかった。


もう慣れた事だ。
この会社に入ってから陰口を叩かれる事なんて。


社長の婚約者だから、何をしても許されると思っているとか。
大して仕事が出来ないくせに甘やかされているとか。


もう正直に言って聞き飽きたし何の感情も抱かない。


最初は辛かったけど、仕事で見返そうと頑張ってきた。


入社してまだそんなに年月は経っていないけど、それなりに……。


いや、このオフィスで1番……
仕事ができると自信を持って言える。


努力をして、仕事で成果を上げれば認めて貰えると入社当時は思っていた。


だからこそ早く1人前になれる様に頑張ってきた。


でも……どんなに頑張ったって成果を上げたって……。
ここにいる人たちは、私を社長の婚約者としてしか見ない。


如月 梓沙を見てくれる人なんて……。
この会社にはいない、私の居場所はココにはない。


自嘲じみた笑みが零れそうになった時
オフィスに緊張が走る。


その理由は……。



「今なんて言った……?」



拓哉さんが冷たい声でオフィスに言葉を放ったから。
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