男の秘密
「今日は良い鱧が入ってるんや。客に出す予定なかったんやけど、忍は特別や!」

ご機嫌で忍に話しかける重利(しげとし)を見ていると、二人の仲が客と店主だけではない事が分かる。

「鱧なんて久しぶりだな」

忍の表情もとてもリラックスしている。

そんな二人のやり取りを楽しそうに見ていた優に、重利が話をふる。

「俺は重利だ、あんたは?」

「斉藤優です。」

「優か。優は何飲む?ビールか?日本酒か?カクテルなんて洒落たもんはここには無いけどな」

「え、と・・お茶をお願いします」

「なんや、飲まれへんのか?それともコイツ気にして飲めへんのか?」

忍を無遠慮に小突きながら笑ってそういうが、重利の勢いに優は引き気味だった。

「忍さん今日車ですし、私も明日は仕事なんで」

そんなやり取りをしていると、沙織が鱧を持って来た。

「忍くん、お仕事忙しそうね、この前の・・・」

「沙織さん!今日は仕事の話は無しでお願いします!」

忍の慌てように優はビックリしたが、沙織はクスリと笑って「わかったわ」と頷いた。

少し話したら、二人に気をつかってか、他の客と話し出したので少しホッとした。

「凄く元気な方ですね」

鱧以外に、揚げナスや出しまき卵等を頼んだが、どれも関西風の味付けでとても美味しかった。

「うん。落ち込んだ時とか凄く元気を貰ったな」

昔を思い出して懐かしそうに話す忍。
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